話し方上達のポイントその3

話し方上達のポイントその3
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異文化コミュニケーションのコツ

2020年の東京オリンピックパラリンピックまでちょうど2年。再来年の今頃はいろんな国からたくさんの方が試合を見に来られていることでしょう。最近は、外資系企業関連のイベントや、日本の企業ですが従業員の中に外国の方が増えてきている為、どのようなコミュニケーションをとれば組織力が上がるかといった研修のご依頼が増えてきました。私自身も外国籍の英語の先生と一緒に働いているので、国によってコミュニケーションの取り方が違うという事は身をもって感じています。

そんな中、ここまでやらないと伝わらないんだと感じる出来事がありました。

私は日常的にフィリピン人の英語の先生と一緒に働いているのですが、彼女と話していると「そこまで言わないと分からないんだ」ということがよくあるのです。例えば経費の請求の仕方。相手が分かりやすいように、月別、カテゴリー別に分けることは私達であれば容易に想像できますよね。自分の思ったやり方でいいか途中で確認する人も多いでしょう。しかしながらそんな指示を受けてないので、彼女は請求書を整理せずに請求してくる。月別、カテゴリー別に整理してほしければ、私から具体的にそう伝えないといけないのです。コミュニケーションでも同じで、私からしてみたら、こう考えるのは当たり前だよねという事も、そうではない。すべて詳細に指示を出し、すべて詳細にどこまで理解できたか確認する必要があるのです。それが話し手の責任なのです。最初彼女に会った時は、物事すべてが新鮮で、彼女との仕事が刺激に満ちたものでした。しかし時間が経つにつれて、私の考え方との違いの大きさにショックを受けることが増えてきました。フラストレーションはたまる一方でした。異文化交流の研究で有名なS・リスガードはこれを、異文化理解のUカーブ曲線として、最初の時期をハネムーン期、次をショック期と呼んでいます。そして今私はどこにいるのかというと、彼女の考え方や行動を受け入れて、自分との違いがあるという前提で説明したり、指示を出したりしています。これをリスガードは適応期と読んでいます。

人によってどのようなUカーブになるかはバラバラです。人によっては適応することが難しく、海外赴任者であればカーブを描けないまま帰国せざるを得ないという人もいるでしょう。そんな状況を克服するコツは、特に相手がアジア圏や南米圏の人であれば「仕事は人」つまり、その人との関係性を深くすることです。育った環境を理解しようとするコミュニケーションをとる事です。すれ違う時の何気ない会話や、仕事と全く関係ない話を楽しむ、食事を一緒に取るなど、その人との関係性を深くする事です。また相手がアメリカやスイスと言った国々では「仕事は仕事」つまり実務と感情は別。いい仕事をすることが、あなたへの信頼を構築してゆきます。

彼女はアジア圏の人なので、一緒に過ごす時間が長くなるほど分かり合える部分は増えているのですが、それでも私達日本人と比べると想定的にはアメリカ的な傾向が強い。異文化理解は極めて相対的な価値観の上に成り立っているのですね。

ツーと言えばカー、といった関係は一見楽ですが、労働人口が減っていくこれからの日本は、そうばかりは言っておられません。自国の文化と全く違う文化を理解することで、自分の視野も期せずして広がることになったならば素敵なことではないでしょうか?そこから、いままでになかった価値観が生まれる気がしています。

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